再生医療外来
ひざ関節の再生医療 APS療法
はじめに
当院では2021年(令和3年)10月より再生医療の一環として、変形性ひざ関節症に対するAPS療法(次世代PRP療法)を開始しました。
本治療を開始するにあたり、「再生医療等の安全性の確保に関する法律」を遵守し、法律に従い、認定再生医療等委員会の意見を聴いた上、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出し2021年4月に受理されました。これにより第2種再生医療・PRP(多血小板血漿)を用いた変形性ひざ関節症の治療(関節内への投与)を行うことが可能となりました。
◆第2種再生医療等提供計画書 計画番号PB3210001
再生医療とは
人には傷ついたら治そうとする自然治癒力が備わっています。患者さん自身の細胞を用いてこの回復能力をさらに高め、組織や臓器の修復を目指すのが再生医療です。バイオセラピーとも呼ばれ、ご自身の細胞や血液成分などを利用する治療方法です。整形外科の再生医療は近年PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)療法が行われており、米国大リーグで活躍する日本人選手も行い注目を集めました。PRP療法は血液中の血小板を遠心分離機で凝集し、血小板が豊富に含まれた成分を用いた治療法で、血小板の機能を活用した再生医療です。
APS(Autologous Protein Solution:自己タンパク質溶液)療法とは
PRP療法を応用し、膝関節などの関節疾患に特化したのがAPS療法です。APSとは自己タンパク質溶液の略称で、患者さんご自身の血液から炎症を抑える良いタンパク質と軟骨の健康を守る成長因子を高濃度抽出したものです。APSは血液からPRPを分離し、さらに遠心分離と特殊加工を加えることで、関節症の痛みに有効な成分を高濃度に抽出するため次世代PRPとも言われます(図1)。
図1 APSは炎症性サイトカインを抑えるタンパク質と成長因子を高濃度に抽出
患者さん自身の血液を用いて治療するので、薬物による副作用や手術による体の負担や合併症が少ない事が利点です。また入院の必要がなく日帰りでの治療が可能です(図2)。
図2 患者さんの血液からPRPを分離し、さらに遠心分離と特殊加工を加えAPSを作製
APS療法は保険適用前の治療であるため、全額自己負担で33万円(税込)かかります。先ずはご自身の関節が現在どの状態であるのか客観的に判断し、様々な治療方法の中からご自身で治療方法を選択することが良いと思います。
受診方法
再生医療外来の診療日は、
午前:月曜日・水曜日 <受付8時15分~11時> です。
学会出張等で休診日もありますので、電話で診察日の確認をお願いします。
お問い合わせは、月~金曜日 14:00~17:00 に整形外科外来へ。